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内出血・あざ

介護施設で原因のわからないあざが増えるとき、まず見る5つのこと

誰に聞いても心当たりがない。それでも、毎月あざが出る。
介護の現場では、めずらしいことではありません。

先に、はっきり書いておきます。原因は、たいてい分かりません。 探しても見つからないことのほうが多い。それが普通です。

ただし、見る場所には順番があります。 そして、原因が分からなくても、やっておくべきことがあります。

最終更新:2026年8月 / 高齢者支援実務研究所

もくじ

  1. 原因が分からないのは、あなたのせいではありません
  2. まず見る5つのこと
  3. 部位で、危険度が違います
  4. 原因が分からなくても、やっておくこと
  5. 「探しすぎない」ことも大切です
  6. まとめ

原因が分からないのは、あなたのせいではありません

高齢の方のあざには、ぶつけていなくてもできるものがあります。加齢によって皮ふと血管がもろくなり、 軽くさわっただけ、袖を通しただけで出血することがあります。老人性紫斑ろうじんせいしはんと呼ばれます。

血をさらさらにする薬やステロイドを使っている方は、さらに出やすくなります。 つまり、探しても「ぶつけた場所」が存在しないことがあるということです。

原因が分からないことを、分からないまま共有できるチームが、いちばん安全です。

無理に原因を決めてしまうより、「分からない」と書いて、みんなで見ているほうが、次の発見が早くなります。

ただし「分からない」で終わらせてよい、という意味ではありません。
分からないからこそ、記録に残して、部位べつに数える。それが唯一の手がかりになります(4章)。

まず見る5つのこと

あざを見つけたとき、いきなり「誰がやったか」を探さないでください。 見る順番は、この5つです。

見るところ何を確かめるか
① 場所 体のどこか。左右どちらか。同じ場所にくり返していないか
すね・ひじ・前うでは、ぶつけやすい場所です。逆に、わき・内もも・背中は自分ではぶつけにくい場所です
② かたち 丸い点が並んでいないか(指のあと)。帯状・線状ではないか(ベルト・柵)
形は、当たった物の形をしています。ここが最大の手がかりです
③ 見つけた時刻 朝いちばんか、日中か。前回いつ見たか
朝の更衣で新しいあざなら、夜間にできた可能性があります
④ その方の状態 薬(抗血栓薬・ステロイド)/やせ/むくみ/乾燥/麻痺/拘縮/かゆみ
⑤ 環境と道具 車いす・ベッド柵・装具・ストッキング・トイレ・浴室。その部位に当たる物を、実際に手でなでて探す

⑤がいちばん見つかります。目で見るのではなく、手でなでてください。 目では分からない小さな出っぱり、ネジの頭、樹脂の縁のバリが、指では分かります。

部位で、危険度が違います

同じあざでも、できた場所によって意味が変わります。 自分でぶつけられる場所か、そうでないかで分けて考えます。

🟩 よくある場所 すね・ひざ・前うで 手の甲・手首 自分でぶつけられる場所。 日常の動作でできます。 記録は残す。ただし 探しすぎない。 🟨 道具を疑う場所 ひじ・こし・仙骨 かかと・足首・ふくらはぎ 車いす・ベッド・装具が 当たっている可能性。 当たる物を手で探す。 仙骨は褥瘡も疑う。 🟥 必ず報告する場所 顔・首・耳のうしろ わき・上うで・むね おなか・背中・おしり 内もも 自分ではぶつけにくい場所。 原因が推定できる場合でも、 必ずリーダーへ報告。
図:部位べつの考え方。赤は「自分ではぶつけにくい場所」です

赤の場所を、自分で判断しないでください。
「移乗のときに支えた場所だから」と分かっていても、必ず報告します。 これは疑うためではなく、報告した記録が、あとであなたを守るためです。

とくにわき・上うでの「丸い点が並んだあざ」は、指でつかんだ跡の形です。 移乗の方法を見直す合図でもあります。

原因が分からなくても、やっておくこと

ここがこの記事のいちばん大事なところです。原因が分からなくても、できることが3つあります。

① 見つけたその場で、記録する

あとで書こうとすると、必ず忘れます。大きさ・色・形・部位・時刻を、その場で残してください。

✕ よくない記録

「右腕に内出血あり。原因不明。経過観察。」

これでは、1か月後に読んでも何も分かりません。大きさも形も部位の詳細もないので、比べられません。

〇 よい記録

「8/25 10:00 入浴時、右下腿前面に3×2cmの紫色のあざを発見。形は帯状。本人に痛みの訴えなし。 発生の瞬間は目撃していない。

形と部位が書けているので、当たっている物を探せます。

② 「発見」と書く。「ぶつけた」と書かない

見ていないなら、「発見した」が事実です。「ぶつけたと思われる」は推測なので、 欄を分けて書くか、「〜の可能性がある。目撃はしていない」と明記します。

推測を事実として書くと、記録全体の信頼が落ちます。 そして、あとで別の原因が分かったときに、記録が矛盾します。
「分かりません」は、いい加減な記録ではなく、いちばん正確な記録です。

③ 部位べつに、数える

1件では何も分かりません。しかし1か月分を部位べつに数えると、はっきり見えます。

集計で多かった部位疑うところ
すね・足首車いすのフットサポート。移乗のたびに当たっていないか
ひじ・上うでの外側アームサポート。傾いて寄りかかっていないか
こし・仙骨ずり落ちによる摩擦。褥瘡の始まりの可能性もあります
手の甲・前うでベッド柵をつかむ、皮ふの乾燥、抗血栓薬
わき・上うでの内側移乗で抱え上げている。方法と人数の見直しへ
内もも・おしりオムツ交換で足を広げすぎている。リフトのスリングのふち
ふくらはぎ・かかと弾性ストッキングのしわ、装具、ベッドでの引きずり

数えることが、いちばん強い対策になります。
「すねが今月8件」という数字があれば、フットサポートのカバーを買う理由になります。 「なんとなく多い気がする」では、何も動きません。

「探しすぎない」ことも大切です

原因を突き止めようとするほど、職員どうしで疑い合うことになります。 そして、疑われると思った職員は、次から報告しなくなります。

報告が減ることのほうが、あざが増えることより危険です。

見つからなくなったのではなく、見えなくなっただけだからです。

だから、こう分けてください。

やること
  • その場で記録する
  • 部位べつに数える
  • 当たる物を手で探す
  • 赤の部位は必ず報告
やらないこと
  • 担当者を特定しようとする
  • 「誰がやったの」と聞く
  • 報告した人を責める
  • 無理に原因を決めて書く

報告してくれた職員に、最初に言う言葉を決めておいてください。
「見つけてくれて、ありがとう」——これだけで、翌月の報告数が変わります。 Cảm ơn bạn đã phát hiện ra.

ご家族には、先に説明しておく

あざが出てから説明すると、どうしても言い訳に聞こえます。 入所のときに、あらかじめ伝えておくのがいちばん確実です。

「ご高齢の方は、皮ふと血管がもろくなっており、強くぶつけなくてもあざができることがあります。 私たちは毎日確認し、記録してまいりますが、原因が特定できないことも実際にございます。 その場合も隠さずご報告いたします。」

まとめ

この方は、どこに気をつける?

利用者さんの状態を選ぶと、注意する部位が体の図で出ます。印刷して、カンファレンスの資料に使えます。

あざのリスクを調べる → ボディマップをダウンロード

根拠にした資料

個人の経験ではなく、公表されている資料をもとに整理しています。
  • 厚生労働省「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」および関連通知
  • 厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」
  • 医療・介護ベッド安全普及協議会「医療・高齢者施設におけるベッドの安全な使い方」
この記事について 一般的な情報提供を目的としています。医療・介護の判断を代替するものではありません。 施設によって、利用者さんによって、正しいやり方は変わります。ここに書いたことが、そのまま当てはまるとは限りません。 皮ふの異常、押しても消えない赤み、急に広がるあざ、痛みを伴うものは、看護師・医師にご相談ください。 実際の対応は、所属施設の規程および、医師・看護師の指示に従ってください。制度・基準は改正されることがあります。
ベトナム語 参考訳です。母語話者による確認は受けていません。誤りにお気づきの方はご連絡ください。